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英国のデットファンドマネージャーが現在のマーケットにおける課題と機会について解説

プライベートエクイティ業界に長年携わる人たちは「市場が一時的に混乱し、優良企業がマーケットの波に引っ張られている状況こそ、ベストな機会だ」と言います。

Debt Fund Manager Challenges and Opportunities

ご存じの通り、COVID-19パンデミックによって多くの命が失われ、金融および経済システムに前代未聞の深刻な影響がもたらされています。あらゆる業界と業種における事業が経済的メルトダウンによる痛手を負い、多くの企業は業務を継続するための流動性を見出しづらい状況に陥っています。

健康面における危機的状況と経済的不安定の結果、ファンドマネージャーは事業におけるあらゆる側面、具体的にはファンドレイズと投資戦略、チームとの協力、クライアントとの関係などについての再評価を行っています。そして速いスピードで物事が動き、あらゆるところにリスクが潜む状況です。

私は先日、英国を拠点とするファンドマネージャーとの間で、このパンデミックが企業の2020年プレイブックに与える影響、ドライパウダーの展開、現在マーケットにある最大の機会について話をしました。 

イントラリンクス:パンデミックが始まって以来、日々の生活に最も大きな変化を与えたことは何ですか?

正直に言えば、これまでもチームは出先や家から仕事を行っており、デスクワークの仕事にはそれほど大きな影響はありません。最も大きな変化と言えば移動が無くなったことでしょう。電話/ビデオ通話は(少なくとも今現在ファンドレイズに関しては)同じとは言えません以前のファンドの既存投資家が新しいファンドに関心を持つことも十分考えられます。しかし、新しい投資家が、実際に会って話をせずに投資にコミットすることは考えにくいでしょう。

社内外でコミュニケーションを取る際に何か違うツールを使っていますか?そうだとすれば、どのように行っていますか?

一部の仕事はMicrosoft Teams、Slack等を通じて行いますが、ほとんどは社内に関してはこれまでと同じです。社外に関してはZoom/videoに頼っており、現在の投資家との間では電話によるコミュニケーションが増えています。私たちはより頻繁に投資家に対して投資に関する報告をすることが求められており、ビデオ会議が最も効率的な方法であると思っています。

ドライパウダーをどこに向けようと考えていますか?計画に何か変更はありましたか?

はい。以前は非公開に準備された特殊状況投資に注目が集まっていましたが、今では公開され窮地にある負債へと移っています。非公開の特殊状況に長期にわたって投資するよりも、公開されたマーケットで負債の買取に目を向けています。それらの価格が再び上昇するまで保有するつもりです。それまでの間、投資の利回りを得ることができるでしょう。

今後12カ月のファンドレイズに関する見通しはどうですか?パンデミックによって、マーケットへのタイミングや積極性に影響が出ていますか?

大きな変化はありません。私たちは第2四半期(4-6月期)の初期にファンドレイズを行う予定でしたが、現在新たに、イニシャルクローズを5月ないし6月初旬とすることに注目が集まっています。全く新規の投資家が、チームと顔を合わせることなしに新しいファンドに投資することは考えにくいことです。

バイサイドとセルサイドの投資活動に関する見通しはどうですか?どちらの側がより活発なマーケット活動を行うとみていますか? 

大まかに言って、私たちは現在投資期間内にある最近のファンドへの投資をスピードアップしており、配当期間にある古いファンドの処分をスローダウンまたは停止しています。

現在のマーケットで最も大きな課題は何だと思いますか?また最大の機会は何でしょうか?

最大の課題は、今回の危機がどの程度の期間となるか、その長期的な影響、また政府による介入の規模と範囲が未知であることです。マーケットが一時的に混乱し、優良企業がマーケットの波に引っ張られている状況こそ、ベストな機会が見つかるといえます。それに、コントロールプレイのために窮地にある状況が再び脚光を浴びることでしょう。こうしたタイプの戦略は、景気が後退する中で金融マーケットに見られる混乱の中から生まれる機会を利用することを目的としています。窮地にある負債は私たちにとって有利な状況をもたらしています。しかし現在のマーケット状況はさらに興味深い状況を作り出してくれるでしょう。

Kim Jackson Intralinks