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新型コロナパンデミックによる経済の不確実性の影響下、2020年上半期もM&A取引は継続

2020年上半期は、テクノロジー部門と消費者/小売部門において顕著な取引が見られました。

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今年初めに発生した新型コロナウィルスの世界的なパンデミックは世界中の産業および経済を混乱させました。しかし、2020年上半期は不確実な状況が続いていたにもかかわらず、特定の業種の合併・買収(M&A)ディール活動は幾分安定を維持しました。

2020年7-9月期のSS&Cイントラリンクス ディール・フロー・プレディクターによると、今年第1四半期(1-3月期)に10,500件以上のM&Aディールが公表され、そのうち3,200件以上が3月に公表されました。

M&Aを強化して成熟したプラットフォームを推進

2020年上半期からの一部の大規模ディールのおかげで、テクノロジー分野は引き続き活発な動きを見せています。例えば、Zoom社は5月に最初の買収・合併を公表しました。ビデオ会議プラットフォームを提供する同社は、多くの業種で対面会議を制限することとなった、各国が実施したロックダウン期間中にその需要を劇的に伸ばしました。そんな中、セキュリティの懸念が高まったため、 Zoom社はKeybaseを買収しました。Zoom社のCEO、エリック・ユアン氏は、この買収はツールのセキュリティ欠陥に対応するためのより広範な計画の一部だったことを認め、Keybaseの新規事業でビデオ通話に暗号化が提供されたのです。 

複数のテクノロジー大手企業は、2020年上半期もこれまで同様、事業を進めており、マイクロソフト社はいくつかの大規模ディールを実施しています。3月末、マイクロソフト社は5Gソフトウェア製造会社Affirmed Networksの買収を発表しました。ブルームバーグはこのディール額を13億5千万米ドルと評価し、メガディールが2020年に消滅するという憶測を払拭しました。数か月後、マイクロソフト社は別の買収を発表。これはイスラエルのIoT(モノのインターネット)会社CyberXでした。

新型コロナパンデミックがもたらした買収

FinTechでは継続的な活動があり、セクター内の複数の買収がイントラリンクスを利用して実施されました。決済技術およびサービス提供業者のEVO Paymentsは、この春、プライベートエクイティ会社のMadison Dearbornから1億5千万米ドルの資金を受け取る際にイントラリンクスを活用しました。興味深いことに、この取引はパンデミックに対するEVO社の対応計画の一環でした。

同社のプレスリリースは、「DPの追加リソースによりEVO社の財務プロファイルが強化され、世界的な新型コロナウィルス流行に対応しながら、今後の戦略イニシアチブに専念し続けることができる」と述べています。

他の業種のディール活動も粘り強く進行しています。栄養ドリンク製造会社のRockstarは、大手清涼飲料メーカーPepsi Co.への38億5千万米ドルにおよぶ売却取引でイントラリンクスを利用しました。この傾向はペプシ社だけではありません。他の清涼飲料メーカーも、炭酸飲料の消費が減少していることから、栄養ドリンクへの参入を目指しています。  

結論

予想通り、2020年上半期のM&A活動は前年のような記録的な上昇が見られませんでした。しかしながら、最終的に実施されたディールを見返すと、2020年下半期に入るにつれて機運の高まりが見えます。ディール活動は、一部の業種と地域において緩やかに通常レベルへと回復しており、専門家は慎重ながらも楽観的な見方をしています。

Aiko Suyemoto