レガシーLIBORの延長:ゲームは、終わるまで、終わらない

今後の移行について知っておくべきこと


2021/1/5

Man looking pensively at laptop screen

「ゲームは、 終わるまで、 終わらない」これはアメリカのプロ野球チームの監督だったヨギ・ベラが1973年8月に自身が率いるニューヨーク・メッツが5位だった時、ナショナルリーグのペナントレースで優勝する確率について語った有名な言葉です。この言葉は、最近のIBA(ICEベンチマーク・アドミニストレーション)のLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)延長の発表の観点から、レガシーLIBOR移行にも当てはまります。 

2020年11月30日、LIBOR ベンチマークレートを公表するグループであるIBA は、米ドルLIBORの公表について2023年6月30日までの期限延長を協議することを発表しました。例外は、人気のない1週間物と2カ月物の米ドルLIBORです。これにより、特定のレガシー米ドルLIBOR契約が、2021年の期限を超えてさらに18か月間継続可能となりますが、その意図はLIBORの公表を停止する前に、ほとんどのレガシー契約を失効させることです。ただし、既存の2021年12月31日の期限は、すべての新しい米ドル契約および他の4つの非米ドルLIBOR通貨のすべての契約に引き続き適用されます。協議期間は2021年1月31日に終了し、その後、2023年6月30日までの延長に関する公式発表がある予定です。 

この延長は米ドルレガシーLIBOR契約の多くで役立ちますが、2023年6月30日の新しいLIBOR期限の後に失効する15兆米ドル相当の米ドルレガシー契約があります。さらに、この延長は、2021年12月31日の期限までに特定、分析、修正される数兆相当のレガシー契約をもつ他の通貨のLIBOR(日本円、英国ポンド、ユーロ、スイスフラン)には適用されません。英国だけでも、2021年以降に満期となる契約が12兆ポンド以上あります。

多くの銀行は、タフレガシー法規制が残りのレガシー契約に「免罪符」を提供することを望んでいます。それはありませんが。これについては後で詳しく説明します。提案された法規制は、タフレガシー契約に対する新しいベンチマークレートの採用を強制し、発行者に訴訟または契約違反からの免責を提供します。英国のFCA(金融行為規制機構)と米国のARRC(代替参照金利委員会)は、どちらもそれぞれの政府に法案を提出しています。

タフレガシーが何を意味するかについては多くの誤解があります。ARRCのTom Wipf氏によると、タフレガシーとは、修正が非常に困難な契約のみを指します。* この良い例として、債券保有者の同意を得ることが非常に困難な米ドル債が挙げられます。多くのレガシー契約はタフレガシーとしての資格はなく、LIBORの期限までに新しい参照レートに修正するには、昔ながらの懸命な努力と交渉が要求されます。レガシーLIBORを構成するさまざまな製品や契約条件を考慮すると、それは企業のローン、投資、将来の収益源を未知の画一的な、政府が義務付けた交換率に固定するため、疑わしい戦略であることが判明する可能性があります。 

2021年に向けたLIBOR移行に関する重要な注意事項: 

  • 延長は完了した取引ではありません。 これに関しては、2021年1月の業界参加者間の協議と、遅くとも4月に行われる可能性のある公式発表が待たれます。既存の期限が1年未満であるため、その延長が可決されないと発表された場合、銀行はすべての契約を期限内に修正するのに苦労するでしょう。 
  • タフレガシーは、免罪符ではありません。 これは少数のレガシー契約にのみ適用され、法規制が制定される保証はありません。
  • 多くのレガシー契約は2023年6月30日以降に失効します。 各契約には、9〜10件の補足文書(修正、約束手形など)を含むことができ、これらの文書も特定や分析、そしておそらく修正が要求されます。したがって、2,000件の契約などといった管理可能なデータ量のように見えるものは、あっという間に手に負えなくなってしまうでしょう。
  • 貸し手とその顧客が2023年6月30日以降まで延長を望むレガシー契約と取引は修正する必要があります。 これら既存の契約は、新しい期限を過ぎて延長される場合は、新たなフォールバック言語で更新する必要があります。

1973年、ニューヨーク・メッツは8月に5位から巻き返し、その年の10月にナショナルリーグのペナントレースを制しました。レガシーLIBOR移行については、IBAの発表により、銀行やその他の金融機関がレガシーLIBOR契約の一部を修正する必要性を軽減する可能性がありますが、それらの機関は、ヨギ・ベラ氏の賢明な言葉を心に留めて、延長の有無にかかわらず多くの修正作業が残ることを理解しておくべきです。レガシーLIBORに関しては、「ゲームは、終わるまで、終わらない」のです。

 

ウェビナー:LIBORレガシー契約 – いま動き出す時 (録画の47分)、2020年11月



Dominic Brown

ドミニク ブラウン

ドミニク・ブラウンは、米国マサチューセッツ州ウォルサムのイントラリンクス、フィールドテクノロジー部門責任者。15年間のコンプライアンスおよびIT分野の経験に加えて、イントラリンクスの独自のテクノロジーを活用して、企業が機密性の高いデータを共有、配布、収集する際の課題に対処できるよう支援を提供している。また、企業が安全なデータ交換に付随するリスクと費用を劇的に削減するテクノロジーソリューションを展開するための社内手続きの把握および変更のサポートを担う。ドミニクは、フォーチュン1000企業および北米最大の政府機関との業務に従事してきた。この業務には、実践的な法務テクノロジーコンサルティングのほか、提携、電子情報開示、コンプライアンスソリューションを構築および展開するためのチームのリードも含まれる。