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東京国際法律事務所・イントラリンクス合同ウェビナー「企業価値を高めるクロスボーダーM&Aの最新実務 」サマリー

クロスボーダーM&Aの最新実務やコロナ禍におけるリモートデューデリジェンスのトレンドについて、合同ウェビナーを開催しました。

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東京国際法律事務所とSS&Cイントラリンクスは2021年7月9日に、クロスボーダーM&Aの最新実務やコロナ禍におけるリモートデューデリジェンスのトレンドについて、合同でウェビナーを開催しました。当日は300名以上の方にご参加いただき、大変参考になったとご好評をいただきました。

ウェビナーでは東京国際法律事務所 代表パートナー 森 幹晴先生に、「企業価値を高めるクロスボーダーM&Aの最新実務– M&Aは経営と法律と会計・税務の総合格闘技 –」と題して、クロスボーダーM&Aの勝機と課題、M&Aと法律・会計・税務、クロージングまでの財務変動リスク– 価格算定と価格調整/MAC条項、売主側のバーチャルデータルームの活用法などのトピックについて、大変有意義な講義をしていただきました。
                    
続いてSS&Cイントラリンクス アドバイザリーチーム チームリード 清井 奈津子より、「M&AにおけるVDRの活用」について皆様にご紹介させていただきました。
プレゼンテーションではコロナ禍でのリモートデューデリジェンスのサポート例として、イントラリンクスのVDR(バーチャルデータルーム)とZoomの連携や、イントラリンクスのVDRをM&Aプロジェクトにおける動画配信に活用されたパナソニック様の導入事例についてご紹介いたしました。また、弊社のお客様のビジネスをサポートするコミットメントのひとつとして、日本国内におけるデータストレージ開設についてもお伝えいたしました。国内データセンターの重要性については、森先生もご講演の中で「データ管理、サイバーセキュリティの重要性の向上、日本国内にデータセンターを置くという安全管理重視のトレンドが昨今出てきている」とおっしゃっていました。国内にデータを保存するメリットについてはこちらをご覧ください。国内データストレージについてご関心のある方はぜひこちらからお気軽にお問合せください。

その後、クライアントの皆様から事前にいただいた質問の中から森先生にお答えいただくQ&Aセッションを実施しました。ここでは森先生のご回答のサマリーをお伝えします。

Q&Aセッションサマリー

イントラリンス:コロナ禍のクロスボーダー案件で変わったこと、変わらなかったことはありますか(リモート対応、電子化他)。

森先生:大きく変わったことは、リモート化あるいは非接触化の活用が進んだこと。アメリカではDDからVDRを使い、交渉も電話会議、クロージングも電子送金で終わってしまう。アメリカでは10年くらい前から相手に会わずにすべて案件が終わってしまう。場合によっては依頼者が海外だと依頼者にも会わずに案件が終わってしまう。
日本を含むアジアは対面文化。交渉では膝詰めで会って話す、夜も含め一緒に食事をしながらお互いを知った上で交渉する文化がある。クロージングもどちらかというと会ってする。どちらがいいというより文化の違い。コロナの影響でアメリカみたいなプラクティスが進んだのが変わった点。
変わらなかった点は、日系メーカー企業の現地視察の重要性、マネジメントの信頼関係構築のための対面の重要性。これらは比較的変わらないのかなと思っている。イントラリンクスも紹介しているが、リモートデューデリジェンスが今後どう変化していくのかは興味深い。

イントラリンス:日本企業特有の意思決定(ボトムアップスタイル)はクロスボーダーディールを行う際に外国企業にどのようにみられているのでしょうか。グローバル企業と交渉する上で気を付けたいポイントをご教示ください。

森先生:アメリカ・ヨーロッパ・アジアのオーナー系企業のM&Aは、マネジメントレベルが交渉の場や意思決定に関わってくる。一方で日本企業はディールチームが業務を行い、定期的にマネジメントの了解を取りながら進める。一般的に日本企業の意思決定がやや遅い・質問が多いと言われる。意思決定の遅さは経験を積んで徐々によくなってきているが、ディールチームとして相手方と話をして、持ち帰らなければいけない部分やすぐに回答できない部分があると、回答に1~3か月くらいかかってしまう。そのあたりのスピード感は日本企業と組むメリットを感じてくれる海外企業がいるうちはいいが、他の選択肢が出てくるマーケット環境になるとやはり見劣りしてしまう。例えば一時の中国企業のように意思決定が早い競合がいると負けてしまう。その時々でどういう買い手候補がいるのかをにらみながら早く意思決定をして返すことは引き続き課題として残っている。

イントラリンス:プロセス面(スケジュール等)で、欧州・アジア案件は比較的柔軟に買い手側の要望に対応してもらえることもある一方、アメリカ案件はほぼ交渉余地はないと理解しています。何か良い対処方法があればご教示ください。

森先生:ヨーロッパ・アジアは感覚が似ていて、足して2で割る感覚がある。アメリカは交渉をある意味ゲームととらえ100%自分に有利な交渉をしてくる。アメリカのロースクールの交渉術の授業は大人気であり、交渉をしっかりやるというカルチャー。郷に入っては郷に従えでこちらも相手のメンタリティを理解し、入念に準備して最大のメリットを生み出す交渉、どこを取ってどこを譲るかを念頭に置く必要がある。負けない交渉の準備と交渉の仕方をアドバイザーとして考えるのが重要。

素晴らしい講義をしていただいた森先生、ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
イントラリンクスではこれからも業界の専門家をお招きして、知見や洞察を共有するウェビナーを開催予定ですので、ぜひご期待ください。
 

Yuki Iwamoto