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シンジケートローン情報交換会

機密情報を安全にかつ効率的に共有するバーチャルデータルーム(VDR)のパイオニアであるSS&Cイントラリンクスは、去る2023年11月10日、国内のシンジケートローン市場における主要な金融機関を招き、業界内の情報交換を目的としたイベントを開催した。 

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全国銀行協会(全銀協)が発表している「貸出債権市場取引動向」によると、日本国内の直近10年間のシンジケートローンの実行件数は年間2,500件から3,000件程度で安定的に推移しており、金額的にも毎年およそ30兆円前後の新たなシンジケートローンが実行されている。 

一方、融資残高は2013年期末時点の254兆円に対して2022年期末においては392兆円まで大きく膨らんでおり、毎年右肩上がりに増えていることが確認できる。プロジェクトファイナンスなど、主に償還年限の長い案件が積みあがっていることが主要因と推察されるが、国内の金融機関において、管理案件数は増加一方の傾向であると言える。 

そのような業界全体の状況の中、今回の情報交換会においてはシンジケートローン業務における現在のトレンドや課題を洗い出し、金融機関同士のベストプラクティスを共有することを目的に、主にイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用しているディストリビューション(投資家向け販売)及び期中管理(実行済み融資の管理)業務を担当している金融機関の担当部門よりそれぞれ3名ずつに登壇してもらい、参加者から寄せられた様々な質問に対して回答をしてもらった。 

座談会

ディストリビューションにおけるトレンドと課題 

 

質問: ジェネラル案件において招聘する金融機関を選択する際、基準や選定方法等は整備されているか。  

りそな銀行 コーポレートビジネス部 藤 祐一 氏   
実態としては、過去の案件で接点のあった金融機関を招聘するケースが多い。もちろん、接点のない金融機関を調査し、声をかけることもある。例えば外部格付を有しているかどうかで取り組みが検討できるかどうかポイントになるか等、各金融機関の方針を整備しようと試みている。   

三菱UFJ銀行 ソリューションプロダクツ部 森井 大輔 氏   
整備している。過去のシンジケーションに参加いただいた金融機関様について、どういった案件、どういった条件で参加いただいたかをすべての案件で記録している。過去の経緯を参考にしながら、各金融機関様とは面談などを通じて定期的にコミュニケーションをはかっており、足もとの目線を共有している。前提として、借入人様、スポンサー様の意向を踏まえた上で招聘させていただく金融機関様の検討を行っている。 

大手地方銀行ディストリビューション担当   
明確な基準という観点では定めていない。案件毎に過去の実績を参考にしながら、招聘を行っている。

質問: シンジケートローン組成において、参加行として信金、信組様を招聘することはあるか。また、参加行のリクエストに応じて、コベナンツ資料をFAXや紙ベースで展開するケースはあるか。

大手地方銀行ディストリビューション担当   
弊行は地方銀行であり、地場の中堅企業向けのいわゆるコーポレート、クラブディール案件で、既存の取引の関係性を勘案し、信金、信組様を招聘した実績はある。ファイルサイズの制限を含めて先方が電子メールでの対応ができない場合もあり、紙、あるいはFAXで対応したケースはある。一方、招聘、期中管理ともに事務負担が発生するため、案件組成の段階で確認をしているのが現状である。 

三菱UFJ銀行 ソリューションプロダクツ部 森井 大輔氏   
イントラリンクスのバーチャルデータルーム、あるいは電子メールにて資料を展開することが前提であるが、やむを得ず紙ベース、ファックスで資料を展開したケースもあることはある。一方で、信金、信組様の案件への招聘について、信金法との兼ね合いと、シンジケーションには、相応の金額感でご参加をいただきたいと考えており、そういった点などもネックになってくると考えている。

りそな銀行 コーポレートビジネス部 藤 祐一 氏   
信金、信組様について、要望があれば特に分け隔てなく招聘している。営業エリアが限定されている点などは、出資金の必要の有無などを含めて(借入人様に)説明している。コミットメントラインについては、取り組みづらいという声が多いため、控えている部分は若干ある。   

資料の展開について、柔軟に対応している。ただ、先ほどもお話になったように、エージェント業務の担当チームに依頼するとなると、事務的な負荷が発生してしまうため、特別対応としてディストリビューション業務の担当チーム、あるいは営業店で行っている。 

 質問:イントラリンクスのバーチャルデータルームを参加行として検討する際に使用しているか。もし使用していない場合、その理由をご教示ください。 

三菱UFJ銀行 ソリューションプロダクツ部 森井 大輔 氏   
私自身は参加行として案件を検討する立場ではないが、弊行の例を見ていると、参加行としてもイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用している。また、シンジケートローンのデジタル化に向け、今年度の上期から他行様がアレンジした案件であっても、イントラリンクスのバーチャルデータルームの使用を推進していくというのが行内の方針となった。以前は本部での利用が多かったが、法人担当拠点(RM)部門でも積極的に活用していく。話は少し逸れてしまうが、ディストリビューショングループとしても幅広に活用しており、スポンサー様が開設したイントラリンクスのバーチャルデータルームで、主幹事(MLA)行や参加行などの関係者間で情報共有を行うなどの使い方も広がってきている。 

りそな銀行 コーポレートビジネス部 藤 祐一 氏
イントラリンクスのバーチャルデータルームは現在使用していない。大きく2つの理由があり、1つめの理由はファイルのアップロードができてしまうこと。多くの場合、参加行としてアレンジ行が準備するバーチャルデータルームにファイルがアップロードできない設定で招待をしてもらっていると認識しているが、必ずしもこの要件が満たされていることを弊行側で担保できるわけではないため、その点がクリアできれば1つめの用件は充足する。   
2つ目のポイントとしては、これはバーチャルデータルームに限らずクラウドサービス利用全般に言えることだが、各勘定店において、IDとパスワードの管理をどう行っていくか取り決めをする必要がある。ただし、一部例外的にイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用しているケースも存在するを付け加えておく。  

大手地方銀行ディストリビューション担当   
参加行としてもイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用している。本部として、細かく営業店の利用状況を捕捉しているわけではないが、実態として使用している。   
 

期中管理におけるトレンドと課題 

 

質問: バーチャルデータルームに移行したことにより、どの位業務が改善できたか。また、バーチャルデータルームの利用を検討中の銀行において、想定される効果はどのようなものがあるか。 

商工組合中央金庫 ソリューション事業部 田仲 豪 氏  
プロジェクトファイナンスの期中管理での使用を開始した。具体的な改善効果はこれからとなるが、見込まれる効果としては、大容量ファイルの効率的な授受などが挙げられる。CP書類や資料などが多数存在し、ファイルサイズが非常に大きいものとなる。例えば、現在取り組みをしている案件の建設状況の報告書であれば、ゼネコンに提出いただいた建設状況の報告書が50MBほどのサイズである。各金融機関で受信できるファイルサイズの上限も分からない状況であるが、イントラリンクスのバーチャルデータルームを使用すれば、ファイル分割の必要性を気にする必要がなくなり、効率的な授受が可能となる。 

信金中央金庫 法人営業推進部 前川 直紀 氏  
プロジェクトファイナンスの観点から申し上げると、事業計画などの書面投票関連書面の送付について、配送時は紙で印刷すると印刷範囲を設定する必要があったり、メール送付となればファイルサイズの制限があるため、分割等を行う必要があったが、イントラリンクスのバーチャルデータルームを使用することにより、加工せずに送付することができるようになった。時間換算すると、例えば事業計画では1つの郵送でこれまで30分程度を有していたが、バーチャルデータルームの導入により5分程度まで削減することができた。また、ストレージという観点でも効果があり、レンダー行を含め、書類の所在を問われた際に、容易に案内ができ、業務の効率化につながった。 
  
みずほ銀行 エージェント業務管理部 佐原 忠史 氏
みずほ銀行は、いつからイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用しているかがわからないほど以前、少なくとも10年以上前から使用している。基本的には、オリジネーション  (新規組成)業務において、タームシートや契約書のドラフトを共有している。  
期中管理を担当するエージェント業務の観点では、専用の業務システムで期日管理や諸所の計算、FAXでの通知までを自動化しているが、ファイルサイズが大きいなどFAX送付に馴染まない  不動産融資での鑑定評価書などを4年ほど前からイントラリンクスを利用して送付している。足元では運送費など年間100万円ほどの圧縮につながっている。  
イントラリンクスと共同で、FAX代替の利用拡大も開発中で来年8月のシステムリリース、下期からの本格稼働を予定している。皆様には今後詳細をご案内するのでご協力願いたい。  

質問: エージェント業務の事務効率化のため、どのような取り組みをされているか。または今後検討されているか。  

商工組合中央金庫 ソリューション事業部 田仲 豪 氏  
私自身もコーポレートのエージェント業務に3年ほど携わってきたが、その中で申し上げると、エージェントシステムを改修し、極力手作業をなくすことが挙げられる。また、各種書式の変更、例えばメガバンク様がされているような、署名印鑑届を包括用に切り替える、連絡先届について契約ごとであったものを全契約で使用できるよう共通化することなども行った。実行時の領収書の廃止も行った。FAX送信後に全送信先に電話の上受信確認をしていたが、こちらも廃止した。今後は継続して個別の事務処理を簡素化していくことは割り切って行っていきたい。FAX送信の自動化についても取り組んでいきたい。四半期ごとの月末2営業日前のTIBORの金利約定通知が相当な件数になっており、将来的にはエージェントシステムとイントラリンクスのバーチャルデータルームの連携も検討していきたい。 

信金中央金庫 法人営業推進部 前川 直紀 氏  
イントラリンクスのバーチャルデータルームの導入に伴い、本業務のペーパーレス化を強く意識している。レンダー(参加行)への一方向的な通知だけでなく、事業者(借入人)側からのコベナンツ書類の受領についてもイントラリンクスのバーチャルデータルームを使用するようになった。その中でネックになったのが、一部書類について原本の徴求が必要であったことだ。近時では、原本証明が押印された書類をデータとして徴求しても構わないよう契約条文の見直しを行った。新規契約から適用しており、既存契約の見直しまでは至っていないが、そのような取り組みを行っている。今後について、バーチャルデータルームとは関係がないが、事業者の伝票作成の負担を軽減するため、プロジェクトファイナンスでのインターネットバンキングの活用を模索している。 
  
みずほ銀行 エージェント業務管理部 佐原 忠史 氏   
独自で構築しているエージェントシステムは、基本的な条件管理、約定金利・返済条件などがシステム上で計算できるものとなっている。システム上で(処理を)承認すると、自動的にFAXが送信される。5年前からそのような仕様となっており、近時効率化の目立った取り組みがあるかといえば(5年前のシステム構築に)依拠しているのが現状。足もとで申し上げると、皆様からご説明のあった取り組みなども行っているほか、ナレッジトランスファー(知識の共有)に議論が向かっている。担当者の平均年齢が上昇しており、実は私自身もそうであるが、2000年代に着任した担当者が主力を担っている状況にある。おそらくあと5年もすれば、10年以上経験のあるベテランがほとんど離れてしまうため、いかにChat botなどを使用し落とし込むか、といったことが重要になってくる。また、電子契約についても検討している。全体では、今月より立会人型の電子契約の締結が可能となり、シンジケートローンにおいてどう運用していくか研究をはじめている。

<最後に>  
SS&Cイントラリンクスのバーチャルデータルームは、メガバンク、地方銀行、政府系金融機関を中心に、現在国内の多くの金融機関に情報共有プラットフォームとして利用されている。特にシンジケートローン業界においては、業務の根幹を担うインフラとしての利用が広がっており、第一地銀も含めた国内の主要金融機関のイントラリンクスのバーチャルデータルームへのアクセス実績は100%を誇っている。

もともとシンジケートローンの組成やディストリビューション業務での利用から始まったバーチャルデータルームの活用だが、座談会の内容からも明白なように近時のトレンドとして、期中管理業務における活用の加速が顕著である。今後の期中管理業務の効率化やデジタル化のニーズを踏まえると、この動きは今後ますます強まっていくことが想定される。そういった中でSS&C イントラリンクスとしても、メガバンクの独自開発のシステムとの連携や、大手行や地方銀行がエージェント業務で採用する他のソフトウェアベンダーのシステムとの連携など、様々な形でお客様の業務支援を目指している。 

また、2023年にSS&Cイントラリンクスが傘下に収めたLoan Ecosystem LLC社のレンディングソリューション、「LoanStream」(旧称Loan Ecosystem Online)の日本国内においてのロールアウトも開始した。LoanStreamは、シンジケートローンにおけるEnd to Endのプロセスをシームレスに効率化するオンラインのプラットフォームであり、データベース内に蓄積された過去の案件情報から潜在投資家の発掘、各種書類の電子署名、CRMツールとの連携や期中管理の機能などを有している。今後はイントラリンクスのバーチャルデータルームとの機能の融合なども含め、様々なサービス拡充を目指している。プロセスの自動化との親和性が高いことから、足元では同じSS&C傘下であり、兄弟会社であるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を生み出したBlue Prism社との協業も始まっている。 

このようにSS&Cイントラリンクスは今後も、国内のシンジケートローンの業務効率化・デジタル化におけるパイオニアとして、金融機関を支援していく方針である。 

情報交換会に参加した金融機関

あおぞら銀行

福岡銀行

SBI新生銀行

北陸銀行

きらぼし銀行

みずほ銀行

三十三銀行

三井住友銀行

信金中央金庫

三井住友信託銀行

商工組合中央金庫

三菱UFJ銀行

第四北越銀行

武蔵野銀行

千葉銀行

横浜銀行

西日本シティ銀行

りそな銀行

広島銀行

 

※五十音順 敬称略